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高岡銅器|株式会社 道具

融 合
大手SEプログラマーから、鋳物づくりの老舗の跡取りとなった異色の作り手がいる。 高岡市内で明治32年より続く株式会社 道具 五代目、道具志朗さんがその人だ。プログラムを構築する世界から一転、伝統工芸の作り手になったその経歴は非常にユニーク。志朗さんの思考にみる鋳物への取り組みを探ってみた。
     

プログラマーとしての夢

1974年10月22日に富山県高岡市の老舗 株式会社 道具の3男として生まれた志朗さんは、地元で小・中・高を過ごし、富山大学を卒業したという生粋の富山人。 小学生時代ですでに独自のプログラムを組むような友人に囲まれ、自然と業界に興味を持ち始める。中学で将来プログラマーを目指し、高校進学時には専門の勉強にのめり込むようになった。
自然と富山大学時代は電子情報工学科に席を置き、コンピュータのプログラムの勉強に没頭する日々を送っていた。大学卒業後は神奈川県の戸塚市にある日立通信システムという会社に行くことが内定していたのだが、卒業を前にしたお正月、実家の社員も集まった宴会の席で、ある事件が起きる。

 

高岡銅器|株式会社 道具:鋳造

     

高岡銅器|株式会社 道具: 道具 志朗

 

五代目への転身劇

志朗さんは男3人兄弟の末っ子。また双子の弟で、双子のお兄さんは医者を目指していた。長男は埼玉県の鋳物会社で既に修行をする跡取り候補の第一人者。家業とも付き合いが深い鉄の鋳物会社で、鋳物の世界や経営について学び、実家を継ぐというシナリオだったそう。そのお兄さんがお正月の宴席中、「俺、家継がんよ」と発言したことをきっかけに大騒動になった。そもそも兄が継ぐ事に何も疑問を感じていなかった志朗さんだったが、兄が継がないとなったことで、跡継ぎ問題は暗礁に乗り上げる。双子の兄は医学大学を卒業し、国家試験も受けてあとは発表待ちという状態。そうなるとご両親や従業員の期待は志朗さんのみ。その後、両親と三人になった際、志朗さんは、五代目を継承することを約束した…がしかし、それには条件があったという。「私が継ぎますが、就職は決まっているので、企業にも迷惑はかけられない。だから3年間待って欲しい、と言ったんです。」と志朗さん。
そもそも3年間の意味を聞くと、「就職してすぐ辞めたら意味がない。会社は自分に投資してくれるわけで、せめてその投資分をお返ししてから戻ってきたいと思ったんです。」という理由だった。
大学卒業前の若者の発言とは信じがたい男気溢れる性格を垣間みた。

     

さらなる変化と五代目への就任

家族・従業員への約束と共に、神奈川県の会社へ就職してから1年後のお正月に実家に戻ると、さらなる転機が訪れる。インターネット電話開発プロジェクトに参加し、ものづくりへのチャレンジを始めた矢先だったが、実家に帰ると空気が重たく感じたという。
「会話の中で、両親は僕がもう戻って来ないんじゃないかと不安になってるのを感じたんですよ。これはやばいと思いました。」そして「わかった。今年で辞めて帰ってくる。」と伝えたという。中学のときから夢描いていたプログラマーのキャリアは結局1年1ヶ月。株式会社 道具の五代目が生まれた瞬間だった。

 

高岡銅器|株式会社 道具:鋳物

     

高岡銅器|株式会社 道具:ひょっとこ花入れ

 

知識ゼロからのスタート

いよいよ家業を継ぐ事になったが、最初は不安だらけのスタートだった。なにせ、25歳で鋳物に対する知識はほぼゼロ。鋳物に関しても、業界についても知識がなかった。ご両親に「他の会社へ修行に行かなくていいの?」と尋ねても、「一度外へ出るとどこに行くかわからないから」と言われ、修行も経験できなかった。業界では素人と思われ、肩見の狭い時期もあったという。その時も志朗さんは決心をする。「ぼくにはプログラムの知識しかない。ならば会社運営にコンピュータを持ち込もう。同時に現場のことを覚えていこう」と一念発起。8ヶ月でその目標を達成する。

     

四代目の病気とさらなる飛躍

4歳のときに4代目であるお父さんが病に倒れる。その時点で父の技術を完全に継承していなかった志朗さんは、懸命に生の伝統技術習得に励むが、1年後お父さんが亡くなられる。 悲しみの中にいたが、お父さんの意志を継ぎ正式に社長に就任したことがきっかけでさらなる企業努力の道へ進む。試行錯誤のうえ出来上がったのが、生型と金型の技術を有したことでコストを見直した今の事業形態であり、新たな道具の鋳物事業への挑戦だった。

 

高岡銅器|株式会社 道具: shell

     

高岡銅器|株式会社 道具: 尾崎 迅

 

尾崎さんとの出会い

ほどなくして、志朗さんの新たな方向性を目指すきっかけとなる出会いが生まれる。当時、高齢化する業界への危惧と、技術の継承と自社の若返りを考えていたとき、高岡伝統産業青年会の同志、青井 一暁さんから職人を目指す尾崎 迅さんを紹介される。現道具のデザイナーである。もともと大阪で自転車を作る仕事をしていた尾崎さんもいろんなご縁で高岡へ移住してきた矢先だった。この出会いが、株式会社 道具へ新たな可能性を生む大きなきっかけとなる。

     

マネキンの入賞とブランド化

高岡の鋳物業界は、熟練された職人たちがひとつのものづくりに携わる分業の世界。それだけに職人世界の後継者不足も問題となっていた。志朗さんと尾崎さんを結びつけた青井さんも、そんな高岡の伝統産業の未来を心配していたひとりだった。
そこで志朗さんに、尾崎さんを他の職人さん技術も修行しながら道具の社員として働く新しい雇用のカタチを提案する。志朗さんにとっても大きな決断だったが、信頼する青井さんの協力もあり尾崎さんを迎えることになる。そこからの尾崎さんは、道具の鋳物づくりの技術はもちろん、熟練の研磨職人のもと研磨技術も磨く毎日。そんなとき、高岡クラフトコンペの出展の話がくる。
出展に際してはデザイン開発も必要になることから、志朗さんは尾崎さんにデザインに没頭する時間も与える。そこで生まれたのがマネキン「hiraku」。
この作品が2012年のファクトリークラフト部門で見事グランプリ受賞したことで新しい道が開ける。メーカー「株式会社 道具」のブランド化である。自社では今まで考えもしなかったデザインから請け負う新しい形態の始まりであった。

 

高岡銅器|株式会社 道具: hiraku

     

高岡銅器|株式会社 道具: 道具 志朗

 

道具ブランド」の方向性

まだ始まったばかりのブランド化ではあるが、徐々に作品が生まれつつある中で、志朗さんの構想も広がっている。花瓶やキャンドルホルダーも尾崎さんのデザインをもとに新たな取り組みで生まれた作品である。 お客様には、「金属の素材感を全面に押し出した作品をつくり、鋳物の良さを道具ブランドの中に見つけてもらいたい」と語る志朗さん。株式会社 道具の作り出す新たな融合のカタチは、未知数だ。

     

作り手紹介

高岡銅器|株式会社 道具: 道具 志朗

道具 志朗さん

大手企業のプログラム開発者を1年で退職し、100年以上の歴史のある家業を継ぎ、鋳物の作り手となった異色の経歴を持つ。デザイナー尾崎氏とのコラボレーションにより、金属の素材感や質感を活かした独自の作品づくりによる道具ブランドを立ち上げ、高岡の伝統工芸を新しいカタチで展開する会社である。

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株式会社 道具

職人インタビュー

デザイナー尾崎氏とのコラボレーションにより、金属の素材感や質感を活かした高岡の伝統工芸を新しいカタチで展開する

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3件の商品がございます。
ひょっとこ花入れ/花器
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ひょっとこ花入れ/花器

5,616~6,480
ころっとしたフォルムが愛らしい、一輪挿しの鋳物花器です。火が不可欠な鋳物、火男(ひょっとこ)をモチーフにデザインされました。
金属独特の落ち着いた色味の、小さなたたずまいは、さまざまなシーンでご使用いただくことができます。真鍮には、水の抗菌作用がありますので、お花が長持ちします。富山県高岡市の鋳造所「株式会社 道具」が製作しております。
色(dou_hyo):
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shell/キャンドルホルダー
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shell/キャンドルホルダー

5,670~7,236
富山県高岡市の鋳造所 株式会社 道具 ”尾崎 迅”が造り出す真鍮製キャンドルホルダーです。豊穣の象徴としてギリシア神話の女神ウェヌス(ヴィーナス)とともに描かれるホタテ貝をモチーフにしています。火を灯したときの映り込みや真鍮鋳物の鋳肌の風合いをお楽しみください。
カラー(dou_shell):
サイズ(comm):
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hikaru/マネキン | 株式会社 道具
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hikaru/マネキン | 株式会社 道具

172,800
富山県高岡市の鋳造技術を駆使し、金属の質感を活かしたアーティスティックなマネキンです。ネックウェアや帽子のディスプレイにご使用いただけます。2つのひらかれた曲面をアルミ鋳物で成形し、組み合わせました。独特なフォルムは存在感と軽やかなイメージを併せもちます。染織作家の安井未星さんとのコラボレーションにより生まれた、鋳物のマネキンです。高岡クラフトコンペティション2012 ファクトリーグランプリ受賞
数量:

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ひょっとこ花入れ/一輪差し|尾崎迅

火が不可欠な鋳物、火男(ひょっとこ)をモチーフにデザインされました。ころっとしたフォルムが愛らしい、一輪挿しの鋳物花器です。

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